じゃがいもと鱈 1/31 日
(店の名は「SUNRISE」であったような)
ココア手に冬薔薇に寄る日暮れどき
(店の名は「SUNRISE」であったような)
ココア手に冬薔薇に寄る日暮れどき
ポートランドのゴルフ場〈マウンテンビュー〉のレストランで食べたフィッシュアンドチップスを、ことあるごとに思い出す。ポートランドに行かれないので、自分で作ろうと思って鱈を買ってきた。
そして北欧のミステリを読み始めて、じゃがいもと鱈のシチューが頭から離れなくなって、鱈のフライがシチューになった。
水仙が梅はまだかと日を浴びて
日差しはあるけれど風が冷たい一日。まもなく立春とは思えない冷たさだけれど、公園のしだれ梅の蕾がぷくりぷくりと膨らんでいた。
よく見ると、一輪、二輪ほど、ちっちゃく花が開いていた。
湯浴み後の水一杯の春隣
お風呂にお湯を張ってKneipp(クナイプ)のバスソルトを入れる。好みが分かれそうな独特の香りがふわりと立ち上がる。
今使っている「グーテエアホールング」は、ドイツ語で「お大事に」の意味だそう。
ウィンターグリーンとワコルダーのハーブが肩こりに効くとあって、冬の愛用品。
お風呂にとっぷりと浸かっていると、真っ赤なお菓子「リコリス」を思い出す。ホントに独特な香り。
(一茶に「家一つ畠七枚冬日和」の句あり)
冬日和一茶の畠いづくへと
思っていたよりも寒くなった帰り道のところどころに、冬の日が残っていた。日差しから日差しへ、ジャンプしながら今週も始めよう。
寒泳のころ甦る空であり
すこしだけ暖かい冬の日。のんびりと空を見上げたら、ぽっかりしか雲がのんびりとしていた。
大寒の果実のぬくみひそとして
スーパーの野菜売り場に、ふきのとうや春ごぼうが並びはじめた。八朔も、まだ少し硬い表情を見せながらお目見えしていた。
大寒に入りいよいよ寒いけれど、向かうは立春だ。
白湯汲みて雨乞ひの真似松過ぎぬ
月曜日の朝は少しだけ改まる気分。誰に言うわけでもないけれど、今週もよろしくねの気持ちで窓を開ける。
鉄瓶でぐらぐらとお湯を沸かして、お白湯をいただくところから今週を始める。
マンションの寒暮を伝ひかぐや姫
新月から満月へ。月がゆっくりと欠けながらまた満ちていく。
南風と東からの風で、びっくりするくらい暖かい夕空に、お月様がのんびりと浮かんでいた。
良き事は冬芽にひかり充つるごと
近所の公園にただひたすらに冬の日差しが降り注いでいた。
ベビーカーにもお母さんにも走り回る子どもたちにも、同じように冬の日差し。
唐土の鳥が来てしまって去年今年
七草粥に鏡開きと、お正月は明けてからも楽しい行事が続く。縁起物なので、形ばかりでもと思いつつ、今年はかなり自己流になってしまった。
きのうは小豆を炊かずに、生菓子で鏡開きの真似事。
中空へ鴉初声留めけり
In the sky in January.
The crow's bark is echoing.
カキンと音がしそうな冷たい空気を歩いていると、北欧のミステリが読みたくなる。
早く家に帰って、暖かいココアを沸かしてミステリを読もうと思いながら、あと一枚写真を撮る。
冬椿いつも始めの冬椿
Winter camellias are always in bloom
at the beginning of the year.
The unchanging beginning of life.
年末からのいろいろが穏やかに収まり始めた。感謝とともに、ここから新しいページを歩いていきたい。
コロナ禍や大寒波や、悪いことを数えるよりも、小さくても嬉しいことやよかったことを重ねていこう。
遠き日や飲んで浮かれの松の内
Long ago when we were students,
we drank and had endless discussions during the New Year.
このお正月は屠蘇器を出さずに簡単にね、と母が用意したお屠蘇用の酒器。
結婚したてのころに、一目見てどうしても欲しくなって買ったのよ。家にもたくさん酒器はあったんだけどねぇ。と母。
好きと嫌いがはっきりしている母が、若いころに求めてきたものたちが、今またお役を得て活躍中。
たたそこに生け花のある淑気かな
お正月はステイホームの予定だったけれど、小さなアクシデントに背中を押されて、母の家に帰った。
まもなく90歳に手が届く母の住まいは、いつもと同じ静謐さに包まれていた。
歳を重ねて出来ないことが増えても、それはそれほど怖いことじゃないんだと、また母に教わったお正月。
すき焼きを今朝のおじやに去年今年
Sukiyaki on New Year's Eve became a porridge this morning.
I am deeply grateful,
I was able to welcome my usual New Year
with my mother.
大晦日の夜はすき焼きをいただくのが、我が家のお決まり。
でもこのコロナ禍での鍋料理はためらうねぇ。
母娘あれこれ討議の末に、銘々皿取り分けスタイルのすき焼き風でいくことに。
予期せぬことが起きたりもするけれど、おいしいねと囲める夜に感謝した。