りんごの季節 12/30 水
大雪や津軽娘はいつに泣く
It's heavy snow. Tsugaru daughters who prevented the infection,
also bear a heavy burden.
大雪や津軽娘はいつに泣く
It's heavy snow. Tsugaru daughters who prevented the infection,
also bear a heavy burden.
りんごの季節は医者泣かせ。のはずが、コロナ禍でお医者さんは大忙しだ。
用心の一年から、新たな用心一年へ。
りんごちゃん頼むよと、祈りながら今年を納める。
老人の嫉妬の冬をアマデウス
In the winter of life, the old man was covered in jealousy for Amadeus.
ウィーンからやってきたスノードーム。クグロフにサラサラと雪がふり続ける。いつまでも見飽きない小宇宙。
今夜はモーツァルトを流して、ゆっくり過ごそう。
クリスマス三角帽子遙けくも
Holy night party hat, frenzy Japan has gone.
芝公園の〈クリスマスガーデン〉イベント。今年は小さく開催していた。曇り空も相まって、クリスマスツリーもなんだか寂しげ。
どなたさまにも、優しい聖夜となりますように。
マシュマロのココアに溶ける冬至かな
The winter solstice has come, people love marshmallows melted in cocoa.
ポートランドの友だちと、久しぶりのメールのやりとり。
アメリカはホリデーシーズンの只中なんだと、メールの雰囲気が伝えてくれる。
何もなければ心置きなく家族や友人とハグをして、手から手へ贈り物が交換されて、同じ食卓を囲む季節。
我慢はあっても、世界がすっかり暖かい愛に包まれますように。
伸び縮みする時間背負ふ師走かな
Time expands and contracts, and people feel December.
すっかり金曜日だと思い込んでいた日の翌日。手帳を見たら日曜日だった...。
わたしの土曜日は一体どこに行ってしまったのでしょう。
東京の模造の冬の剥げかかる
年末年始にかけてのイルミネーションのイベントが自粛となり、帰省もままならずで、なかなか寂しいことになってきた。
町中の街灯をすっかり付け替えて、かつての星空を取り戻した岡山県美星町。
近年の街灯が明るすぎて、星空が見えなくなったとの声を受けての全取っ替え。かつての満点の星空が、また町を照らしている。
東京もイルミネーションだけじゃなくて、この際ネオンサインも思い切って消してしまったら、せめて星降る夜が一切を包んでくれるかもしれない。
黄落を見入り絵筆を仕舞ひけり
最近の母の年賀状は、秋のグループ展に出展した絵を題材に作っていた。でも今年はグループ展が開催できなかったし、思うような絵も描けないと、母がぼやいている。
しばらく前に撮ったものだけれど、ママのアトリエの写真を使うのはどうかな。気落ちの母を励ましつつ、写真選びに専念。
電飾の町の灯りも冬の濤
冬のポートランドは息を呑むほどに美しくなる。それぞれの家の窓にクリスマスツリーの灯りがこぼれ出て、通りをほのかに照らす。
派手なイルミネーションもネオンもない町に、クリスマスの灯りが暖かく揺らいでいる。
12月に入って、事務所のある駅にイルミネーションが灯った。
ポートランドと比べても仕方ないけれど、ゴテゴテしていなくてよかったです。
包丁の音の匂ひや土大根
春先の、ずっと家にいる日が続いたころに、いつも着けている香りに、微かな違和感を覚えた。いつごろから使い始めたかも覚えていないほど、馴染んでいた香りだったのに。
新しい香りは、今までよりも淡く、透明な空気のよう。ポートランドの朝の香りがする。
熱燗にて鉄瓶始めの儀と致す
子どものころから鉄瓶は身近な存在だった。
朝、台所に降りていくと、鉄瓶からゆっくり湯気が上がっていて、そのそばに祖母がつけた梅干しが入った壺が置かれている。
毎朝梅干しを一つが我が家の習慣で、子どもたちの梅干しは砂糖がまぶされていた。
鉄瓶でお湯を沸かすことから朝を始める日常は、一人で暮らしはじめて、またいつかのことにしていたけれど、またいつかとか言っているうちに、いろいろできなくなっちゃうかもしれないので、鉄瓶との生活を始めた。
愛しの日用品として育てていけますように。
町時雨レンブラントの影に入る
冬になると、英国や北欧のミステリーを読みたくなる。熱い紅茶とビスケットを用意して、ブランケットにくるまってひたすら読み耽る。想像しただけで至福。
すでに守備よく英国ミステリーを2冊、手に入れた。
とは言え現実には、夏に買ったアメリカ発のミステリーたちが、次はボクの番とばかりに列をなしている。
遠隔の会議賑はふ霜夜かな
優子さんと厳太郎さんと、お正月飾りについてオンラインで打ち合わせ。
画面が繋がった瞬間に、わーいと手を振り合って、
MariY「クリスマスリースとスワッグを、扱わせていただいてありがとうございました」。
Yuko&Gentaro「いえいえいこちらこそ、たくさんの人に喜んでいただけたようで嬉しかったです」。などと、目の前で会っているのと変わらないご挨拶。
お正月飾りをご案内する期間が刻々と短くなっていて、ちょっと焦りつつも、ここは踏ん張りどころ。
喜んでいただける物をお届けできるようにと、三人のアイデアがクラウドで行ったり来たり。
古ランプ出してどこかに隙間風
いつもの年の12月は、慌ただしい気分を抱えながら町をせかせか歩いたり、今年最後とか言いながら、お気に入りのカフェでいちごパフェにまったりしたり、お正月に開けるお茶や和菓子の心算をしたり。
シゴト締め切りを睨んでは、師走ねぇとか言い合ったりもいつものことだったのにね。と、一年中ちんまりとそばにいる、となちゃん(トナカイのぬいぐるみ)に話しかけてみる。
振り返ってみると、まったく同じ年など今までにもなかったし、そういう意味では、今年だけが特別とは言えない、かもしれない
顔見世や流行病の仁左衛門
夜のお出かけがないので、イルミネーションを見る機会がなくなってしまった。歳末の町の賑わいは、むしろ今年は避けなくちゃだし。年末感が味わにくいと思っていたけれど。
12月のカレンダーになって、いつもの年のように、慌ただしい気分がぷくりと湧いてきた。今年もやっぱり、新年に向けて気持ちよく準備を始めよう。
町行く人も少しだけ速足の12月のお一日。