家飲みを、いえ飲みというのか、うち飲みというのか。どちらでもよいことだけれど、「うち」の方が、少し温かいかな。「ち」という言い方もある。けらえいこさんの『あたしンち』。
英語では家屋をハウス(house)と言い、家庭をホーム(home)という。しかし米国ではhomeをhouseの意味で使うこともある。
家が付くコトバの中でも、「家庭」とは不思議な言い方だ。庭の語源はニマ(土間)やニワ(和輪)だという(紫門和語類集)。和輪とは「やわらぐ廻り」の意味。家庭とは、家屋が庭に取り囲まれている、安心で気持ちが和らぐ場所をあらわすコトバなのだ。
ハウス(house)を改まって言うとレジデンス(residence)。「お宅」や「お住まい」などのように敬語的に使うこともある。
逆にデュウェリング(dwelling)と言えば小さな住まい。「拙宅」とか「あばら屋」のような、謙虚な言い方だ。
パレス(palace)は宮殿や御殿のこと。ときどきマンションの名前に見かけるが、自らの住居をパレスと言い張るのは、なかなか。
ぼくが長く住んでいたマンションは、「モナーク(monarch)マンション」を名乗っていた。モナークは君主や皇帝の意味。マンションだって邸宅とか館とかの意味だから、何ともはや、である。せめてアビタシオン(habitation)ぐらいに止めて欲しかった。これなら「上アパート」程度の意味だ。
「ぼくンちに寄ってかない?」、そう言える家に住んでいたい。
2021/4/14 NozomN
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