大層な計画のようだがカンタンで、カンタンなようだが大した計画なのである。すなわち「人間関係に悩むブカがいればマナーを教えて救う」という計画である。ね、カンタンでしょ。で、大したことをネラっているよネ。
エッ? 人間関係の悩みが、マナーを教えるだけで解消されるの? と驚きの声が殺到しているように思われる。ご心配なく。扱いカンタン、効用絶大が、マナーの良いところだ。そのマナーとは、尺の定まった棒のようなものだと教えればよいだろう。顧客を友だちのように勘違いしているブカがいたら、棒の一端をブカに当て、もう一端を顧客に当てて、どちらが上でどちらが下かを確認させる。で、その棒の傾斜がどれほどかを見極めさせる。棒の位置と傾斜が確認できたら、その棒の尺(相手との距離)を考えさせる。で、棒の位置、傾斜、距離に応じて、どんな言葉遣いと立ち居振る舞いが良いかを、マナー読本各種で確認させる。勘違いが起こるたびにこれをやれば、相手との位置、傾斜、距離の関係が瞬間理解できるようになり、それに紐付いたマナーが駆使でき、人間関係に悩むことが少なくなる。
人は相対的存在であるのに、若いモンは絶対を求める。だから、絶対の代わりに定点を与えなければならない。自分を起点にして、周りの人間がそれぞれの方向にそれぞれの距離をとって関係していることを教えるのである。そうすると、マナーが人間関係を維持する構造材だとわかってくる。または、人間関係はマナーによって結節された構造体だとわかってくる。そしてその構造を、相手の清濁、優劣、正否によって変えてはならぬことは、特に納得させておきたい。マナーを教えるとはそういうことなのである。