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29 標準化の栄光

標準的に解説してみれば

 単純にできないか、規格を定められないか、専門ごとに分けられないか、こう考えるのが標準化のキホンである。単純にすれば、繰り返しが利き、誰もが取り組める。規格を定めれば、事々に評価吟味する煩わしさがなくなる。専門に分ければ、誰もが得意分野だけをやるから、上手下手のバラツキが防げる。こうして工場の部品、原材料、設備、作業が、オフィスの事務手続きが、農業生産の方式が、次々に標準化された。

初期の特典

 標準化には大きな特典がさまざまにある。十の力を使って二しか得られなかったのが、十の力で十二を得られるようになった。ムダやロスがなくなり、効率が良くなったのである。十人でやっていたことを二人でやるから、人員も管理もコミュニケーションも五分の一にできるようになった。エネルギーの分母が少なくなり、合理化が進んだ。

進展

 工場で始まった標準化は社員の育成管理に応用されて、いよいよそのメリットが顕著である。社員の活動範囲を単純化し、活動を規格にし、専門領域を与え、組織運営がグッとラクになった。単純化、規格化、専門化をさらにすすめると、社員同士の入れ替えがしやすくなった。社員と社外員との入れ替えもしやすくなった。社員や社外員と機械の入れ替えまでもしやすくなった。

進展にもさらに特典が

 活動の範囲を定めて領域ごとに規格化したため、池の中の悶着は起こしても、大海の潮流や汚濁問題を言い立てるムツカシイ社員はいなくなった。職場が荒れなくなった。標準化を支える専門化が、自己運動を始めた。何も言わなくても若年の人たちが専門資格取得へと奔走するようになったのである。さーてお立ち会い、ここから入っちゃイケナイよ。ここから出てもイケナイよ。