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10 ゴシック化語

系譜

 尖ったアーチ、太い線、大きく解放された壁面を強調してモニュメンタルな(記念碑のように堂々とした)建物であることを誇るのが、ゴシック様式である。また、ココは見てチョーダイと強調したくて使う太い文字が、ゴシック体である。さらにまた、部下に語るときに「非常に、大変、まことに」を連続挿入して各所に強調をまぶすのが、ゴシック化語である。文化が強まった挙げ句の弱まる辺りで、モニュメンタルな建物、文章、演説が、つまりはゴシックが必要になるようだ。

改善処方

 日一日、月一月、年一年と、部下に語る中身を醸成させるには、ゴシック化語の使用比率を低減させることが大いに望まれる(要するに、段々とフツーの言い方にしたら)。つまり、強調を並調に転換し、難解を平易に帰結せしむるのである(要するに、もっとやさしく言ったら)。フツーの言い方にすると中身がよく見えてくる。中身が見えてしまって恥ずかしければ、ゴシック表現を使うのではなく、中身を直した方が喜ばれる。

おまけ

 ゴシック化しなくとも、端(はな)からゴシックになっている言葉もあるから注意が要る。「必達」は、「目標を越える」ではどうだろう(超えるは基準以上になることなのでこれを使ってもよいが、山を越えるなどの用途を思えば三越の源流なども偲(しの)ばれるので越えるを使いたい)。「頑張る」は、「努める」か「励む」あたりで手を打てないか。「生きざま」は、使いたい気持ちはわかるが、ゴシックと濁点を取って、「生き方」と言った方がよいだろう。