衣替えを自分で始めてみると、いろいろと問題が出てきた。暑くなったから夏物、涼しくなったから秋冬物、などとやるわけだが、気温も湿度も行ったり来たりする。仕舞った服をまた出さねばならない。もうお仕舞いだと思ったズボン下も再登場である。クリーニングに出したのなんかは、また着るのがもったいない。
他にもいろいろな問題があって、あれこれやってみたが上手くいかない。何か根本を変えなければいけないのかも知れない。そう考えて、衣替え関連基本方案を作ることにした(法案ではなくてね)。
第一に、衣類を半分にすることを目指した。あっちに仕舞っておいた服をこっちに出す、こっちにある服をあっちに移す、というのが衣替えだが、現実は、あっちもこっちも満杯である。冬物と夏物では衣類のボリュームが違うから、入れ替えのバランスが取れない。
問題は、仕舞うスペースが足りないのである。あるいは、スペースの割に衣類が多すぎるのである。季節の変わり目にクリーニング屋に預けて、外にスペースを広げるという手もある。だがこれは、出し入れの自由が利かないからダメだ。結局、衣類を減らす他はない。
第二に、衣替えを年中やることにした。衣替えを大行事にしない、と言ってもよい。ぼくの部屋の作り付けの洋服ダンスに、「このごろ必要なもの」を大体出しておく。それらを「これ以上は使わないな」と思うまで引っ込めない。肌着、Tシャツ、靴下、パジャマなど、洗濯頻度が高いものは扉のある棚に置くことにした。これはアメリカ滞在で借りた家でよくやる手で、意外に便利なのだ。
第三に、別の部屋にあるストック用タンスにいつまでも滞留している衣類を、思い切って捨てることにした。衣替えをするたびに目にしているのに、一向に「このごろ必要なもの」にノミネートされない衣類だ。結局のところ、使っているジャンパーは2つしかなくて、あとの3つはもったいなくて捨てられなかったのだ。
安房勝山の別荘で使っていたラクダの肌着も、いささか高価だったので大事に取って置いたのだけれども、嵩張ってスペースを占拠しているだけだった。ネクタイも、アクティブに使うものは数本しかないことが判明した。黄ばんだワイシャツは作業用にと取って置いたが、遂に出番はなかった。これらが、エンドレスの衣替えによってあぶり出される。
第四に、新たな衣類の購入は、古い衣類を捨ててからやることにした。ゴルフシャツなどは、古いのを捨てないままに新しいのを買っていたから、超過剰在庫である。最近ではフォーマルな外出着の出番が少ないから、これも新調するなら古いものを処分してからだ。
こんな風にやり始めて4年が経った。衣類は当初の4割になった模様だ。ときどき、ああ、あれを捨てるのではなかったなあ、などと悔やむこともあるが、大概は困らない。それに、まだ2、3割は減らせそうにも思う。
鉛筆やボールペン、ノートやメモ帳、その他いろいろな文具も、「このごろ必要なもの」だけを選んで、あとはストック専用箱にまとめても良いかも知れない。必要になったらストック箱から取り出していけば、不要なものがあぶり出されてくるだろう。
これがうまくいったら、不要な情報の整理もしてみたい。昔のPC生活では、内部の記憶容量が微小で、外部の記憶メディアも1Mバイトとかだった。だから必要な情報だけを慎重に選んで取り出し、よく考えて分類整理していた。だが今では、内蔵ハードディスクは100万倍以上の容量で、その数倍のクラウドストレージまで使っている。そのために、情報は整理しない、という使い方にシフトしてしまった。
こんな状態から情報の整理に取り組むのは無謀かも知れない。発想を変えて、「このごろ必要な情報」だけをノートに書き留めて、あるいはプリントして、あとは全部捨てることにするか。うーむ、そう思い切るには、もう少し気持ちの深化が必要そうだ。
2021/6/16 NozomN
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