「マリ、ノープロブレム!」
「ドントワーリー、ノープロブレム!」
ポートランドで、英会話テープ〈 OK English〉を制作中に、何度も聞いたフレーズ。
アルバイトに来てもらっていた学生たちに、出演してもらいたい人たちのリストを見せて、どうやって探したり頼んだりすればいいかなと相談すると、
まず、「ノープロブレム」。
その上で、ピッツア屋の店員さんはあの店に知り合いがいる、とか、入国審査の係の人はさすがに知り合いいないよね、とか、ショップの店員さんは、マリがこの前親切にしてもらったバッグ売り場の人に当たってみようか、などと相談が始まる。
出演者全員にあてがあるわけではないのだ。
でもまずはノープロブレムなんだ、と理解するまでにちょっと時間がかかったけれど、ノープロブレムから始めるのはとてもポートランドっぽいと思った。
できない理由ははなから考えない。大丈夫だよ!から始まる発想は暖かい。
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印刷所に、パッケージの版が届くのが遅れていると謝りに行ったときも、「ノープロブレム!」と即答。
日本的に考えれば、版の遅れは全体の納期に影響ない、問題ないということだと受け取れてしまうけれど、ポートランドのノープロブレムは違った。
版が遅れるのはあなたの問題だから、こちらはノープロブレムだよであった。
もちろん、版が遅れればその分納期も遅れる。でもそれはあなたの問題で、うちにとってはノープロブレム。
なるほどたしかにおっしゃる通り。責任の所在は明確で、だから騒がず慌てず明るくノープロブレム!
そうか、遅れてしまったものは仕方がないんだ。たった何日か遅れるだけじゃないか。問題ないよ!とこちらも思えてくる。
ポートランドで受け取ったノープロブレムは、どれもこれも「大丈夫だよ」が前提で、ノープロブレムと言ってもらうたびに、勇気が湧いてきた。
2021/2/2 MariY