37度超えの東京。埼玉や群馬では40度を超えたそうだ。40度。息を吸うたびに鼻の中が熱くなりそう。
ポートランドの夏はとても快適だった。日中の日差しは強いものの、日が落ちるころにはさーっと涼風が吹いてきて、空気を冷やしてくれる。
どんなに暑い日でも、木陰や建物のなかはひんやりしていて、日中でも羽織りものが欠かせない。
夜は長袖のパーカーが手放せない。
そんなポートランドの気候がガラリと変わった年がある。
その2年前の夏に滞在していたアパートメントの2階の部屋を、NozomN夫妻に紹介した年。
2ヶ月間滞在していたその部屋は、窓を開けるとセージやローズマリーの香りとともに涼しい空気が流れてきて、いつも良い香りに満ちていた。
その心地良さを二人にも味わってもらいたかったのだけど。暑くて寝苦しいと聞いて、びっくりした。
じわじわと温暖化は近づいていたのかもしれないけれど、たぶんその年を境に、ポートランドの夏はキッパリと、ものすごく暑くなった。
そんな暑さのなかでも、カフェやバーのテラス席は、ラテを飲んだり、サンドイッチやビールを楽しむ人たちで、いつもほどよく賑わっている。
足元に大きな犬が寝そべっていることも少なくない。
そういうお店では、たいてい犬用の水のお皿が用意されていて、暑いなかでワンコも安心。
アルコールに限っては、飲める場所が厳しく決められているけれど、ランチやカフェはどこでもどうぞで、公園や街中のベンチでランチタイムを楽しんでいる人たちもたくさん見かける。
昔の建物を今も大切に使っているポートランドには、高い建物がほとんどなくて、目に入る風景はシックな木造の建物や大きな木。少し歩けば、豊かに流れる川がある。
暑くても、たくさんの木と大きな空の下にいるのはやっぱり気持ちがいい。
暑さが引かない東京の夜に、暑くても気分がよかったポートランドの夏を思い出す。
東京に留まる今年の夏を、ポートランドにいるように過ごせたらいいなぁ。
2020/8/11 MariY